第5分科会
学ぼう 語ろう 生かそう くらしと憲法
助言者 住吉 陽子
司 会 広瀬ミサ子
記 録 箕輪 愛子
● 自己紹介より
A 私が高校生の時、父がシベリヤに抑留されたことや、その時の戦争は侵略戦争だったことなどを聞き、なぜ戦争に行ったのかなどの話しを聞いた。憲法と教育基本法はセットで平和が危ない状況だと思う。
B 駅頭で小さいパンフレットやティッシュなどで憲法や教育基本法などのアピールをしている。変える必要がないのになぜ変えようとしているのかなど、もっと勉強し広げていかなければならないと思う。
C 父は戦争に行ったが、全然語らなかった。報道によって写し方によって変わる。今の子どもたちに語りかけても通じず、ストンと落ちていかないもどかしさも感じる。
D 戦後、兄弟が多くて大変。いくら働いても生活はよくならず、父は築いたものが、戦争で全部なくなってしまったと言った。
E 戦争まっただ中で育ち、私はハチマキをして強制疎開で苦しい思いをし、3人に召集令状(赤紙)がきて戦地に行った。今は青春を返してくれと叫びたい。
F 6年生の時に戦争が終った。戦争中、竹やりや避難訓練、電球に傘をかぶせて避難した。学校に兵隊が泊まったりした。戦が終って、がらっと変わって中学の時に平和教育を受けた。今、また戦争のにおいがして、憲法とりわけ9条を守らなければと思う。
●自己紹介の中で、今、憲法、教育基本法を変えようとする動きが加速する中で、新座では9つの地域で憲法9条の会ができていて、先日は、中学校区(6ヵ所)で、教育基本法の学習会約200名の参加で開かれた。広げていくにはどうしたらよいかとの話しも出されました。
1 憲法ってなあに? 憲法を守る義務は誰にあるの?
世界の50カ国の代表が日本に集まって、国連憲章が制定され、その精神にもとづいて、太平洋戦争(アジアの2千万人の人たちが犠牲になり、女性が従軍慰安婦として強制的にかり出された)の反省の上に立って、日本国憲法が制定され、主権者である国民が政治の担い手に対し、権力を濫用することのないようにつきつけた規範であること。最大の注文は、戦争は違法であり、「戦争をするな」ということ。
2 日本の侵略−アジア−太平洋戦争の加害と被害のはざまで女性たちは。
(イ)大日本帝国憲法と明治民法のもとでの女性の地位
・ ほとんどが天皇の権限になっていて、国の長は天皇、家の長は父親で女性たちが無権利状態。
・ 封建的家族制度のもとで、女性は無能力者として、家長の庇護・支配のもとに置かれた。
・ 夫の家にとついだ嫁として、夫だけでなく、家の権威を代表する男の姑に仕え、夫の兄弟姉妹にも仕えることが求められた。
・ 妻は財産権がなく、夫の性的放縦は容認されたのに、妻は夫への貞操を固く守る義務を負い、妻の姦通は死に値する重大な犯罪(姦通罪)とされた。売春が社会制度として存在し、生活が苦しい農民の娘は遊郭などに売られた。
・ 結婚は家と家との結びつきであり、多くは親の意思や打算で決められた。
(ロ)戦時中の女性は
・ 国民総動員法のもと、女性を戦時計画に組み込む政策が強まり、「生めよ殖やせよ」の奨励。家庭教育は母親の責任。青年が国策に反する危険思想を持たぬよう、母の会、婦人会に女性を組織し、青少年を「小国民」として教育するよう協力させる。
・ 徴兵、徴用で男が留守になる家庭を守り、隣組組織に組み込まれ、食料の配給、空襲に備えた防災訓練、学童疎開への協力、若い女性は軍需工場に徴用された。
・ 満州開拓国、大陸の花嫁、従軍慰安婦などで戦場へかり出される。
(ハ)戦時中の官製婦人団体
・ 愛国婦人会−皇室と華族婦人の軍事ようご、慈善事業から出発して、一般女性まで拡大。軍事援護、国防、防空、愛国貯金、国旗掲よう、地久節、国体観念と奉公精神の作興、愛国処女団の設立など。
・ 大日本国防婦人会−軍部によって組織され、国防に対する家庭婦人の自覚、在郷軍人会の直接コントロールと憲兵、特高ケイサツによる看視のもと出兵兵士の遺家族と傷病兵に対する反戦思想をふせぎとめる活動など。会員数約55万人。軍部を背景にファッショ的婦人団体として猛威をふるった。
3 日本国憲法5つの原則
(1)国民主権 (2)戦争放棄 (3)基本的人権
(4)議会制民主主義 (5)地方自治
・ 女性は戦後初めて参政権を獲得、憲法で男女平等、家族構成の平等が保障された。
4 自民党の改憲がねらう6つのポイント。
(1)・憲法9条を変えてアメリカの戦争に日本が武力を持ってどこへでも参加できるようにする。すでに有事立法、国民保護法を制定、自衛隊のイラク派兵、米軍基地再編強化をすすめている。
(2)・基本的人権の制限−天皇を元首とする。(天皇の祭祀を国事行為にする。)
言論、出版、報道の自由の制限、「愛国心」などを憲法に入れる。
(3)・憲法14条、24条、25条を変え、家庭の保護を義務づける。女性は、子どもを産み男性を助けよ。介護、育児など家族の扶助は家庭で。
(4)・非常事態宣言−戦時、テロ、自然災害、大規模暴動には、憲法を停止し、総理大臣が地方自治体や国民に直接命令を下す。国会は機能停止する。
(5)・権力の濫用が行われないよう政府が守るべき規範である憲法(99条)を逆に国民に守る義務を負わせ、憲法を「国民支配の道具」に変える。
(6)・日本が先の戦争で使った軍事費は4年間で380兆円(今年の年間予算は約80兆円)
戦争国家は、重税と福祉、社会保障の切り捨て、自由と人権のすべてを奪いつくす。すでに、年金、医療の改悪、個人所得税増税、消費税大幅アップなど。
・大企業(多国籍企業)は「国益の名のもとに石油資源の利権や復興ビジネス、ミサイル防衛などハイテク武器の開発などすすめている。
5 憲法改悪、教育基本法改悪のなかみ。
・政府は教育の再生と言って新自由主義(地球上のあらゆるもの、人間も利益と対象とする)をとり入れ、お金のある者や企業にとって利益につながる、やり安い方向に教育を組み込み、学力テストなどでふりわけ、更に競争と格差社会をつくろうとしている。背景には、アメリカが地球規模の再編計画を準備していて、対テロ、戦争を長期間にわたって戦っている中で、50年とか100年位を想定し、日本、グアム、イギリスなどに軍事基地を置き、位置づけている。
日本は、同盟国として新しい日米同盟で再編して、アメリカと一緒になって行動するという。5年後に憲法が改悪されたとき、全部機能するように準備されている。
6 憲法9条を守る。
国民多数は「憲法9条を守れ」「海外での武力行使反対」で、国連60周年首脳会議でも、「国連憲章の目的と原則及び国際法に対する我々の誓約を再確認する。これらは平和で繁栄し、公正な世界の不可欠の基礎である」と明記されました。また世界各地で、地域共同体づくりがすすめられ、アメリカの裏庭とさえ言われた中南米でも、米国の干渉と支配に対する抵抗が国家レベルでも拡大しています。
私たちは、平和の願いを草の根の運動に広げて、世界に誇る憲法9条を持つ国の国民として、二度と戦争をする国にしないために、全力を尽くす必要があります。
申し合わせ事項
1 憲法・教育基本法について、身近なところで学習会を開き、学び、語り合いましょう。
2 家庭の中でも、平和や憲法について語り合いましょう。
3 女性が変われば社会が変わる。女性が連帯し、平和を守る努力をしましょう。